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| 陶芸家 金子典栄 さん |
今年も5月11日(日曜日)に真清田神社一帯で開催される「杜の宮市」。主催者側では、年ごとにポスターや手ぬぐいなどを製作しているが、本紙もこれまで、その原画を手がけた作家さんたちを紹介してきた。今年は陶芸家にして、「筆で落書きもするんです」(本人談)の金子典栄さんをご紹介しよう。
金子さんの住まいは岐阜県本巣市根尾。薄墨桜で知られる、あの根尾である。そこにご自身の窯『あかみの窯』を持つということだが、そもそもいかなるご縁で焼き物をはじめたのか。
「もともとわたし彫塑(愛知県立芸大・大学院)をやっていたんですよ。それで陶芸関係の友達もいたりして、その友達に誘われるまま焼き物を作って、毎年、瀬戸の「焼き物祭」で販売していたんです。そしたら結構評判がよくって、『これはいい』ということで、まあ、特別に深い考えもなく焼き物を始めたっていうわけです」
とかく陶芸家というと、職人さん特有の“とっつきにくさ”があるんではないか(失礼)とイメージしていたが、そんな雰囲気はみじんもない。むしろ気さく。決して、自らの作品や取り組みについて声高に言うのでもない。そんなわけだから、こっちもすっかりリラックス。失礼ながら、これ以後は取材というよりは世間話という感じで話が進んでいくので、読者のみなさんもそのつもりでお付き合い願いたい。
「作品は普段、どんな場所で発表してるんですか?」
「あちこちのギャラリーとか。でも、まあほとんどは長久手の『ギャラリー象屋』か、ここ(『ギャラリーさかな』)ぐらいかな」
「住まいは根尾ですか」
「つれあいの実家がそっちだったことと、そちらで窯を作ったこともありまして。かれこれ20年ほどになります」
「窯は、どんなのですか」
「ガス窯がメイン。まきの窯もあるんですが、あんまりたけないですよね」
「まきだと、かえってお金がかかる?」
「それもあるけど、実際に労力が大変なんですよ」
「ところで、金子さんの作品はどんなものがありますか」
「茶わん、皿、湯のみなど、いわゆる普段使いの陶器ですが、ぼくは作品には、大体絵を描きますね」
「犬や猫、猿、うさぎ…、動物が多いですよね」
「そうですね。人間はちょっと生々しいというか。そうした動物たちが、薪割りをしたり、草刈りしたり、ギター弾いてたり。普段、自分たちがしている生活をそのまま絵にしているんです」
「そうした作風は、昔からなんですか」
「変わらないですね。20年、全然変わってないような気もする。淡々と自分のものを作ってきた感じ。もう少し職人に徹してもいいかな、と最近思うようになりました。生活はぎりぎりですけどね(笑)」
“生活はぎりぎり”について言えば、金子さんは陶器作りの一方で、稲作や畑仕事にも精を出す(だから絵の画材にもなる)。「野菜も採れるし、一年分のコメもあるから、そんなにお金が要らないんです」という生活だ。
しかし、最近ではそうした“コメのある生活”をおびやかす事態が発生しているのだという。
「野生の猿ですよ。収穫時期になると集団でやってきて、根こそぎ。20匹、30匹という群れで来ると、もう大変なことになります」
だから収穫時期になると田んぼに見張り小屋を作って、夜明け前から日暮れまで小屋に常駐して猿を追い払ったりするらしい。なんだかほほえましい光景のような気もするのだが、しかしそこで生活する者にとってみれば、これら動物たちによる被害は甚大。それも年々、増加する傾向にあるらしいので深刻ではある。
さて、すっかりリラックスムードの取材ではあったが、これもまた金子さん自身の人柄が影響しているのだろう。金子さんが描く動物たちには独特の雰囲気があり、また実に充足して日々を送っている感がある。まさに“等身大”が金子作品の持ち味ではないだろうか。ちょっと先になるが、10月には一宮市栄の『ギャラリーさかな』で個展も予定しているとのこと。ぜひ一度、足を運んでみてはいかがだろう。