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| 和布ののれんが目印の、陶器ハウス「パレットブルー」 |
今伊勢・酒見神社の向かい側にある陶器屋さん。以前から気になっていたので思い切って入ってみた。明るい店内には、使い勝手の良さそうな茶わんや皿、コーヒーカップなどがずらりと並んでいる。店主の田中広さんに話を聞いた。
高校時代から一人旅が好きで、行った先で写真を撮ったり、焼き物を見て回ることが好きだったという田中さん。
ご本人は「老けた趣味でしょ?」と笑うが、その趣味が高じて陶磁器専門店を開いてしまったのだから、すごいものだ。
「就職して会社員も経験しましたが、20代のころから組織の一員として働くより一人でできる仕事をしたいと思っていましたし、40代になったら何かを始めようと考えていました」
若いころからの焼き物好きを生かし、瀬戸や多治見、土岐、常滑などの産地を回り、直接窯元を訪ね歩いたという。同店をオープンしたのは11年前だが、窯元との個人的なつながりは開店当初からどんどん広がっていき、今では100人ほどの窯元とのつきあいがあるという。
「特にコネがあったわけではなく、本当に飛び込みで訪ね歩き、いいなと感じた焼き物を仕入れさせてもらうという、まったくシンプルな商売をしています」
卸の商社などを通さず、直接取引しているので、価格もとてもリーズナブルだ。
田中さんは、茶わんにせよ、皿にせよ、形のきれい過ぎるものより、少しいびつな味わいのあるものが好みだそうだ。
「作家の思いが伝わってくるような、手作り感のあるものが好きなんです」というように、店内に並んでいる商品も全体的に温もりの感じられるものが多い。
例えばピンクの桜をあしらった美濃焼きの「京桜・飯わん」(800円)やバラの絵がモダンな「ローズ・カフェオレボール」(1,100円)、椿の絵柄に織部釉(ゆう)が美しい「サラダ鉢」(2,000円)、てかりを押さえたマット系の「ナデシコ・脚付き角皿」(800円)、またこれが信楽焼き?と疑いたくなるほどかわいらしいさくらんぼ柄の「湯飲み」(1,800円)など、どれをとっても風合いを大切にした商品ばかりだ。
また値段も、数百円から数千円までが中心。陶器の専門店では欲しいと思っても高くて手が出ない場合もあるが、同店ではそんな心配もなく気軽に選ぶことができるのもうれしい。
季節感のあるものから、年中使える実用的なもの、またネコやウサギをモチーフにした愛らしい動物シリーズなど、種類も豊富。西日本を中心に全国各地の窯元を訪ね歩いた田中さんは、確かな作品を作る作家との信頼関係を構築した。
「しっかりとした考え方を持ち、いい作品を作る若手も多いんですよ。そういう作家さんを応援していきたいですね」。
陶器は世界中に存在するが、日本には日本独特の焼き物の文化がある。長い年月をかけて育んできた伝統文化をより多くの人たちに、わかりやすい形で伝えていきたいというのも田中さんの願いだ。
「そんな大げさなことではありませんが、土と火と人の手によって作られた素晴らしい作品をもっと身近に感じていただきたいです」
だから価格もできるだけ低く設定し、より多くの人に使う楽しさを広めていけたらと考えている。
「陶器は使ってこそ生きるものです。使い込んでいくうちに味わいも出てきますので、どんどん普段の生活に取り入れてほしいですね」とすすめる田中さんは、こうも言う。
「使っているうちに、例えばマグカップの取っ手が欠けてしまったら、花瓶がわりの一輪挿しとして使っていただけばいいし、お茶わんが欠けてしまったら、お菓子を入れるボールとしてテーブルに置いてもらってもいい。使い方は自由です。大切にいつまでも愛用していただくことが一番です」
お客さんとのコミュニケーションを楽しみながら、マイペースで店を切り盛りする田中さんは、こちらが知りたいことに的確に答えてくれる、頼れる陶器アドバイザーでもある。