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| 「人物画は私のライフワークです」と意欲的な小野さん |
今回訪ねた油絵画家の小野アツさんは、娘さんの経営するギャラリー喫茶「あきしの庵」を手伝いながら、コツコツと人物画を描いている。忙しい毎日の合間を縫って、毎年100号の大作を手がけるほか、時間さえあれば、頼まれた絵も描くという。
なぜ人物画を専門に描くようになったのか。小野さんの絵画歴をうかがいながら、絵を描くことの魅力を語ってもらった。
「本当は美大に入って、画家になりたかったんですよ」と若いころを振り返る小野さん。子どものころから絵を描くことが大好きで、習ってもいたが、美術を専攻しても実際に職業としてやっていけるのかという不安もあった。両親からも反対され、結局あきらめたそうだ。新潟出身の小野さんはその後愛知で就職し、結婚。やがて子どもも生まれ、子育てをしている間は絵どころではなかったという。
「子育てが一段落し、自分の時間が持てた時『やっぱり描きたい』という気持ちがわき上がってきたんですね。それでしっかり基礎から学ぼうと、まず2年半デッサンを習いました」
油絵を始めたのは15年ほど前から。人物画を描くことを目指し、人物専門に描き始めた。
「どんな絵でもそうですが、特に人物を描く時は、デッサンをしっかり勉強していないと、いい絵は描けないんですよ」
デッサン力がないと骨格を正確に描くことができず、いくら服を着せてカバーしても、仕上がりのバランスがおかしくなるのだそうだ。
小野さんは、5年ほど前から全国に活動拠点のある美術家集団「一線美術会」に参加。会友として年に一度開催される「一線展」にも毎年出品している。
「最初は孫の成長を絵で記録していこうと思いまして、描き始めました」
時間の経過とともに変化していく人間を描くことはとても楽しい。
「毎回新しい発見があって、それをどういうふうに描いていくかが腕の見せどころ。自分なりにしっかりと描ききれたと思えた時は本当にうれしいですね」
お孫さん以外にも友人の女性を描き続けているが、その人の内面からにじみ出るものをどのように表現していくか。そこが人物画の一番難しいところでもあり、また一番の魅力でもあるという。
「モデルになってくれた人への共感が、絵に表れてくるんですね。ですからその人を好きだという気持ちがないといい絵は描けないですね」
描く作業は基本的には夜、家に帰ってからが多いという。モデルの写真を見ながらせっせと絵筆を動かすが、行きづまった時などは本人に会いに行き、実際の表情などを観察するそうだ。
80号から100号の絵を描く場合は、完成するまでに1年近くかかる。木炭でデッサンをていねいに描くのに3カ月、その後何度も色を重ねていく作業に3カ月、そして完全な仕上がりまでに3カ月くらいかけるので、大作は1年に一本のペースだ。しかし、頼まれれば、いつでも描いてあげたいという。
「幸い、あきしの庵にはギャラリーがございますので、ここで展示会も開くことができます。来年は、仲間と一緒にグループ展を開催する予定でいますので、みなさん、ぜひお越しくださいね」
いろいろな人の人生を感じ、共感し、それをキャンパスに表現していく。小野さんの人物画を見ると、前向きに生きる人へエールを送る気持ちが伝わってくる。