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| 外観は普通の喫茶店。でも中に入るとおいしいコーヒーが待っている |
パッと見た感じはなんの変哲もないよくある喫茶店だが、とにかくコーヒーを注文してみよう。本当に新鮮でおいしいコーヒーが出てくるので、ちょっとびっくりする。
よくよく店内を眺めてみると世界各地から運ばれたコーヒー豆の量り売りコーナーがあるし、自家ばいせん機も置いてある。マロハウスは、地元ではよく知られる本格的なコーヒー屋さんなのであった。
「マロハウスが現在のスタイルに落ち着いたのは6年ほど前ですが、歴史は結構長いんですよ。35年になるかな」
ロック喫茶に始まり、フレンチレストラン、イタリアンレストランと、さまざまな変遷を経て、コーヒー自家ばいせんの店にたどりついたと語る店主の幅光広さんは、実は60年代から70年代にかけて活躍したシンガーソングライターでもある。
「でも今は歌ってないよ。喫茶店のおやじとして、日々おいしいコーヒーをいれるのに専念しているからね」
妻の優子さんとともに、長年店を切り盛りしてきたが、自家ばいせんコーヒーを始めたのは、スペシャルティコーヒーとの出合いがきっかけだったと言う。
「スペシャルティコーヒーとは、簡単に言うと生産農園や地域を特定して輸入されるコーヒー豆のことです。いろいろな場所から集められ、大ざっぱにサイズの違いだけで決められるコーヒーとは、まったく違うもの。まさに特別なコーヒーですね」
コーヒー豆の質を確保し、産地や地域住民を支援するという意味も含めて、スペシャルティコーヒーをもっと広めていけたらいいなと幅さん夫妻は考えているそうだ。
さっそく試飲させてもらった。まずはマロハウスブレンド(380円)。フレンチテイストと浅いり、中いりの香りとコクがほどよくマッチしており、飲みやすいコーヒーとなっている。
「本日のコーヒー」(380円)を注文すれば、スペシャルティコーヒーが日替わりでお値打ちな値段で飲める。取材当日は「グァテマラ・アンティグア」の日だった。カカオの苦味とコクがなんとも言えないおいしさだ。
スペシャルティコーヒーは、仕入れの状況によって売り切れとなる場合もあるが、常時7〜8種類は用意できるという(400円)。
中でも「キリマンジャロ」の名前で知られる「タンザニア・モンデュール」などは苦味の後で甘味が来る実にさわやかなコーヒー。
光広さんが、毎日ばいせんし、注文のたびに一杯立てするコーヒーは新鮮そのもので、何杯飲んでも胃に負担がかからない。
「コーヒーはひいたもので3日から4日。豆の状態で1週間ほどは大丈夫ですが、それ以降は徐々に味も香りも落ちてきます。保存は冷凍か冷蔵をおすすめします」
店内ではひき売りもしている。また宅配(500グラム以上注文の場合は送料無料)も行っているので、スペシャルティコーヒーを自宅で試してみるのもいいかもしれない。
コーヒーをおいしくいれるコツは?と尋ねると「お湯は90度、最初に注ぐ時に蒸らしを20〜30秒とれば、どなたでもおいしいコーヒーをいれられます」とのこと。
「でもね、一番大切なのはやっぱり気持。愛情を込めておいしいコーヒーをいれようという思いが、決め手じゃないかな」との答えが返ってきた。
細やかな気配りの幅さん夫妻は、コーヒーだけでなく、おつまみのクッキーや「パンプキンプリン」(350円)、また「ハンバーグランチ」「スパゲッティ(カルボナーラかミートソース)」「カレーライス」(いずれも650円)もすべて手づくりしている。
「長年、いろんな形態の店を経営してきた経験から、デザートもランチも手づくりするのは当たり前」といった感じの幅さん夫妻は、マイペースを保ちつつ、おいしいスペシャルティコーヒーをお値打ちに提供。地域とのつながりを大切にしながら、店の切り盛りを心から楽しんでいるようだ。