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| 「ぬか漬けの漬け方もトイレ掃除のコツも、教わらないで大人になる人がほとんど。でも知ってしまえば簡単なこと。まず正しく知ることから始めましょう」と柴田さん |
消費生活アドバイザーとは、経済産業大臣認定の資格のことで、消費者の意向を企業に反映させ、企業と消費者のパイプ役として働く人たちのことだ。今回紹介する柴田智子さんもその一人。作る側と使う側が、お互いにより理解を深め、豊かな生活を実現させていくことを目指して、活動している。
「私も含めてですが、今の20代、30代の人たちは、生活者としてのスキルをほとんど身に付けないまま、家庭に入り、子育てに突入するケースが多いのではないでしょうか」と柴田さんは言う。
家の手伝いよりも学業を優先。そんな時代に育った世代が、学校を卒業し、就職する。結婚して初めて料理や掃除の実際に直面し、やがて子育ての大変さや大切さも知るようになる。
柴田さん自身も大学を卒業後、就職。結婚後も働いていたが、事情により仕事を辞め、専業主婦として家事全般に取り組むことになった。が、最初はわからないことだらけだったという。
それで「どうせ家庭に入るなら、専業主婦のプロとして、きちんとした情報や知恵を得たい」と決心し、日々の主婦業に取り組むかたわら消費生活アドバイザーの資格取得に向け、猛勉強を始めた。
「ウチはたまたま夫の両親と同居ですから、家の中のことでわからないことがあれば、いつでも両親に聞けましたが、核家族ではそうもいきません。そんな人たちに、賢い消費の仕方、生活術を伝えていけたらと思っています」
消費生活アドバイザーになってから、柴田さんが実感しているのは、「多くの人たちがマスコミなどの情報やうわさをうのみにし過ぎている」ということ。
「食品添加物が危ないと紹介されると、添加物すべてが有害だと思い込んでしまったり、極端に考えてしまう人がいるんですね」
例えば豆腐工場では、豆腐を作る際に、消泡剤や凝固剤などを添加するが、それは一度に大量の豆腐を製造する企業にとってみれば、必要不可欠なプロセスといえる。
「そういう場合、言葉で説明するのではなく、実際に消費者のみなさんに豆腐作りを体験していただくんです。そこで豆腐一丁を作ることの大変さがわかると、消泡剤などの必要性も受け入れられるようになるんですね」
こうして、食品作りの実態を正しく理解することで、消費者は企業を賢く利用しつつ、より良い生活を目指すことができる。と同時に、柴田さんは、企業にも消費者からの苦言や希望を伝え、消費者が本当に望んでいる商品やサービスを、企業側へと提案している。
消費者に情報を伝える活動としては、各行政からの依頼で講演会を行ったり、「日本消費者生活アドバイザー・コンサルタント協会」に所属するアドバイザーとして、おもに東海エリアで活動している。また企業側からの依頼としては、新商品開発の際のアドバイスやコンサルティングなども引き受けている。
「仕事の関係で、さまざまな資料を読んだり、経済の動向を見たりと、膨大な情報を集めていますが、その中で見えてきたことが一つあります。それは『昔の暮らしを見つめ直す』ということ。同居している両親を見ていても、昔ながらの生活の知恵をしっかりと身に付けていて、ごく自然に暮らしの中に取り入れています。なにげないことの積み重ねですが、それが結局一番賢い方法だし、地球にもやさしいんです」
そんな考え方をベースに、柴田さんは行政や一般企業からの依頼を受け、「エコクッキング講座」を開いている。
「先ほど述べた豆腐にしても、製造過程で大量のおからが廃棄物として出ます。これをゴミにするのではなく、有効に使い切ることが大切です。おからには栄養がたっぷりだし、ムダにしないという意味でも、豆腐料理を指導する際は、おから料理も必ず紹介するようにしています」
また小牧市で「落語から学ぶエコライフ」という、一風変わったイベントを2年前から開催。
「落語に出てくる江戸の庶民の世界は、まさに環境にやさしいエコライフです。東西の噺(はなし)家さんを招いて落語を聞きながら、同時にエコライフに関する講演も交えて、楽しいイベントを行っています」
つねに中立的な立場で消費者と企業をつなぎ、より良い消費生活の実現をめざす。消費生活アドバイザーの仕事を通じて、「みんなが楽しくいきいきと暮らせる社会づくり」が柴田さんの願いだ。