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| 「やんばる」の外観。店頭には沖縄民謡が流れている。 |
やんばるとは沖縄本島北部の一市二町六村からなるエリアで、店の名前に「やんばる」と冠したこのお店も、やはり沖縄県大宜味村出身のご主人が、自分の生まれそだった郷里の沖縄家庭料理を、と始めたお店である。
店のオープンは平成6年。かれこれ11年になるという歴史ある同店だが、そのあたりの経緯を平豊美さんに伺った。
「マスターが大宜味村の出身で、身内が地元で食堂をやっていたらしくて、それでこちらでもやってみようということで始めたんです」
豊美さんが「マスター」と呼ぶご主人は、平政義さんのことだが、現在、実質的に店を切り盛りしているのは奥さんの豊美さんだ。
早速、あれこれの料理を注文してみることにした。最初につきだしとして出てきたのが切干大根の炒め物。
「こっちでは切干大根はもっぱら煮るんだけど、沖縄では炒めるのが多い。五分くらいでさっともどして、それから炒めるの。唐辛子などをきかすとピリッとして、お酒飲む人には結構喜ばれるわね」
ビールのつまみにと、まずはミミガーを注文。ミミガーは、ブタの耳の皮だが、その中にある軟骨も一緒に食べられ、それがまたコリコリとして美味しい。きゅうりなどとの酢の物で食べるケースが多いそうだ。
次はおなじみゴーヤチャンプルー。豊美さんによればスーパーなどで売っているゴーヤは、ほとんどが九州産。一方、「やんばる」で使うゴーヤは、すべて沖縄からの直送。
沖縄ものは、「苦味が少なくて、うまみが強い」そうだが、実際、噛むほどにゴーヤの苦さとうまさが、ともに炒めてあるポーク缶詰の塩味にからんで、絶妙のうまさだ。
「泡盛は、飲まれます?」と豊美さん。「もちのろんです」ということで、これまた沖縄直送の泡盛をいただく。瓶に入った泡盛をすくってからから(沖縄風とっくり)へ。あえて水、氷を入れず生(き)のままで飲む。泡盛特有の芳香がすーっと鼻へぬける。
「これがウチの自慢のひとつなんです。こっちでは、まず飲めないし、買えない銘柄でね。うちはマスターのコネがあったんで、蔵元から直接いただいてるんです。ほんとうだったら、ウチみたいな小さな店は相手にしてもらえないくらいなんですよ」
確かにうまい、この泡盛。なんと43度もあるそうだが、その強さを感じさせないほど、まろやかさとコクがある。銘柄を豊美さんに伺うと、「名前は内緒です」と、マル秘宣言。
つきだしから酢の物、泡盛にゴーヤチャンプルーと、まるで沖縄料理のフルコースを食べているような案配だが、最後はやはりソーキそばでしめたい。ブタのあばら肉をこってりと煮上げたソーキに、腰のあるうどんのような沖縄の麺(沖縄そば)。カツオ・昆布だしの風味で食べるソーキそばは、記者の大好物のひとつ。泡盛の酔いも手伝ってか、ついつい取材をわすれて食べ進む。
「うまかった〜」で取材を終える前に、豊美さんに「やんばる」からのメッセージを伺った。
「泡盛は、このあたりではウチでしか飲めない銘柄のもの。また野菜、肉類から塩に至るまで、ウチで使っている食材はほとんどすべて沖縄から直送しています。こっちで買うのは、ニンジンやキャベツぐらい。沖縄の家庭料理に興味がおありでしたら、ぜひ一度お出かけください」