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| アマチュア写真家 佐藤正晴さん |
「写真の神髄は記録することなんです」
一宮市在住のアマチュア写真家・佐藤正晴さんはこう断言する。佐藤さんは、一宮という地域にこだわり、一宮の街の移り変わりを写真に納め続けてきた。今回は、50年にわたって一宮を記録し続けてきた佐藤さんに話を聞いた。
もともとは消防士だった佐藤さん。昭和31年から平成10年まで、42年間にわたって一宮消防本部に勤務してきた。その功績が認められ、平成14年には勲六等単光旭日章を受章している。皇居での授与式には、亡き妻の遺影を掲げてのぞんだという。
「写真を始めたのは昭和29年からで、ちょうど50年になります。きっかけは高校の修学旅行。父親に中古のカメラを買ってもらい、これで友達を撮ったんです。でもこのカメラがじゃばら式で、シャッターが前にあるためブレやすく、写真がピンぼけになっちゃったんですね。この時、友達に申しわけないと思ったのが、写真を撮り始めたきっかけなんです」
それから写真に興味を持ち始め、花を撮って市のコンテストに応募する。この写真が高い評価を受けたことから、写真にのめり込んだという。その後、佐藤さんは父親に頼み込み、米一俵と交換に新しいカメラを買ってもらう。
「それからですね、あらゆる写真のコンテストに応募するようになったのは。そのために北海道から沖縄まで全国を回って写真を撮り続けました。コンテストでもらったトロフィーを並べて眺めるのが好きでしたね。ところが、このトロフィー、家を新築する際にちょっと軒先にどけておいたら、女房が不用だと勘違いしてゴミに出してしまったんです。ショックでしたね(笑)」
佐藤さんはこれまでに、たびたび写真展を開催してきた。そのテーマの一部を紹介すると、「一宮の蔵」「一宮に咲く花」「移りゆく一宮」「一宮の格子戸」「写真で見る一宮の今昔」……。多くは一宮の街の移り変わりを写したもので、「愛する一宮をいろんな角度から記録に残したい」という佐藤さんの思いが伝わってくるものばかりだ。
秒読み段階となった町村合併を控え、新生一宮の記録にも着手している。木曽川町や尾西市に足を運び、すでに主だったところは撮ってあるという。
もちろん仕事がら、消防関係の記録写真もたくさん撮っている。全国の消防署や消防車、消防活動の記録など、対象はさまざまだ。また伊勢湾台風や集中豪雨など、災害の記録写真も手がけている。
佐藤さんが特に力を入れているのが、火の見櫓(やぐら)の写真だ。かつては日本全国、至る所に見られたが、今では徐々にその姿を消している。佐藤さんは、消えゆく火の見櫓に特別な思いがあるようだ。
「蔵などもそうですが、なくなってしまいそうなものは写真に撮っておかなくてはと考えたんです。地域のお祭りや伝統行事なんかもそうですね。後継者不足から途絶えてしまうかもしれない。そういったものは記録に残しておかなくてはと思うんです」
写真とは別に佐藤さんがこだわっているのが、消防車のミニカーだ。
「ミニカーは消防の歴史を調べたりしているうちに興味を持つようになりました。消防の写真展などで来場者の目を楽しませようとしたのが、集め始めたきっかけです。それが今ではハマってしまい、専門店へ足を運んだりして積極的に集めるようになりました」
佐藤さんの消防車コレクションは、ブリキ製、外国製、灰皿タイプ、皇族の巡行記念品等など、種類も豊富で、その数500台以上。今では手に入らない、貴重な“お宝”もあるという。
これまでに佐藤さんが撮った写真は膨大な量になる。これらの写真は、それぞれテーマごとに分けられ整理されている。いずれも一宮の歴史の“証人”ともいえるような貴重なものばかりだ。
「これらの写真が、一宮の移り変わりや当時の街の“息づかい”のようなものを、後世の人たちに伝えてくれたらうれしいですね」