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| 円満な人柄、ひげが似合いの三好さんだ |
「人生にはさまざまな喜びがあり、同時に悩みや苦しみがあります。人に言えない、誰にも相談できない…」なんて、どこかのラジオ番組じゃないけど、それほど深刻にならずに気軽な感じで「お話をうかがっています」という三好秀導さん。今伊勢は聴信寺の和尚さんである。
月に1回、地域の人々の悩みや相談事を聞いているという三好さん。こうした活動が始まった経緯を、まずうかがった。
「うちの子どもたちが今伊勢小学校、今伊勢中学校に通っていたときに、私自身がPTAの役員をやっていましてね、その時に保護者の方々の学校への思いとか、また学校の考え方などをうかがう機会が何度もありました。そうした保護者と学校の両方を結びつける役割をやっているうちに、ごく自然にこういうカタチになってきたんです」
保護者の声を学校に反映させるといえば大げさだが、たとえば小学校の砂場にネコのふんを避けるためのビニールシートを敷いてほしいという要望や、はたまた校門の施錠のこと、ひいては不登校の子どもたちの保護者の声を聞いたり、「ほんとにささやかなことを地道にやってきただけで、大きなことをやろうなどという気持ちではありませんでした」
こうした活動を地道に続けてきた三好さん、同じPTAの役員をやっていた商店主から、店のスペースを使って悩み相談をやってもらえないかと誘いを受け、昨年の4月から、毎月第3土曜日午後2時から4時まで、「やって来た人たちの話を聞くだけ(本人談)」の悩み相談が始まったという。
相談を受けるようになって約1年半。いろんな相談や話を聞いてきたが、三好さんの中では、やはり仏教の教えがバックボーンになっているようだ。
「人の相談に乗るからといって、自分が人間的に立派でもなんでもない。ただ仏(ほとけ)の教えの中に生かさせてもらっている立場から、お話をうかがっています。いろんなことにぶつかったり、不都合なことをかかえながら生きている人は大勢いらっしゃいますが、悩みを打ち明ける段階で、大抵の方はすでにどの道を進むべきか、なんとなく決めておられます。私の役目はそういう方の背中をそっと押して差し上げることではないかなあと思っています」
確かに、じっくりと話を聞いてもらい、「今、お考えになっている道をご自分の納得いく形で進まれてはどうですか」と言われれば、人は勇気づけられるものだ。
「いろんなお話をうかがいます。その後に『ありがとうございました』と言われるのが本当にうれしいですね。私自身、少しでも人のお役に立てたかと実感でき、勇気づけられます」
こうした出会いもすべて縁(えん)だと考える三好さん、さまざまな縁をもらうことで、三好さん自身、自分の生き方を見直したり、また勉強させてもらっているという。
三好さんは今伊勢生まれの今伊勢育ち。長男であることから“お寺の跡取り”で育ったが、自身が僧りょになることに抵抗もあった。しかし大学を卒業して、実際に檀家のみなさんとのつながりが深まるにつれ、この職業の役割を真しに受け止められるようになったという。
「お檀家さんにうかがってお経をあげさせていただいていますが、若いうちは『今日は、お父さんは?』と言われるのがつらかった。また法要の時などでも、故人のことを知りませんから、ろくにお話もできない。ずっと下を向いていましたね。しかし、こうやって僧りょになって30年にもなると、ご家族の方々と故人の思い出も共有できますし、また故人をしのんで話もできるようになります」
会話というのはとても大事なこと。人は話をすることで悩みを整理でき、聞いてもらうことで少しでも軽く受け止められるようになるというのが三好さんの考えだ。
そういえば1年半前、悩み相談を始めることを知った三好さんの奥さんのひとことが面白い。
「悩み相談第1号で、最初に私が聞いてもらいに行くわ」
取材当日はお目にかかれなかったが、なかなかに楽しいご夫婦のようだ。