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| 「この仕事は学ばせてもらうことがいっぱい」と語る佐伯さん |
自分たちの町に溶け込み、当たり前の生活ができるように、障害者支援をしていきたい…。そんな思いからNPOを組織し、活動を始めた佐伯千代美さん。8月に立ち上げたばかりの新しい組織「MOVE」の運営に多忙な日々をおくっている。
「私自身、ダウン症の子どもがおります。『親の会』でずっと活動をしてきましたが、ダウン症という枠を越えたところで、新たな事業をしていこうという機会をいただきまして、この「MOVE」を仲間とともに立ち上げました」
「MOVE」は、NPO(特定非営利活動法人)として現在、乳幼児から学齢期の子どもたちを支援する「児童デイサービスYY」、障害児の個々の状況に合わせた発達支援教室「ひかりの子」、そして役立つ地域情報を提供する「福祉アドバンス事業部『まきば』」の三部門で展開している。
中でも「児童デイサービスYY」には、開所からわずか3カ月間で、10数名の子どもたちが入所し、楽しい集団生活をおくっている。
「この事業は、昨年からスタートした『支援費制度』に基づいています。これまでの『措置(そち)制度』から一歩進んで、障害者が施設や事業所を選択し、契約できるという制度なんですよ」
つまり今までは、行政側が障害者の施設利用を決定していたが、この支援費制度が導入されたことによって、利用する側が福祉サービスを選べることになったわけだ。
「障害者とその家族が、自分たちの意志で選択し、契約します。利用者とサービスを提供する側が、対等な関係としてつきあっていけるわけです。実際には事業所がまだ圧倒的に少ないなど、問題点は山積みですが、とにかく、一歩ずつ確実に進めていきたいですね」
「児童デイサービスYY」に通ってくる子たちは、現在1歳〜12歳まで11人。自閉症、ダウン症、ADHD(注意欠陥多動性障害)、身体障害、聴覚障害など、障害の種類や度合いもさまざまだが、佐伯さんをはじめ、スタッフは、生活面、勉強面、集団活動など、多彩な角度から、子どもたちを励まし、指導に当たっている。
「子どもの個性や持ち味を生かし、発達に応じて能力を伸ばしていくことを療育と言います。障害があるからといって、成長や発達をあきらめるのではなく、プラス志向で育てていくために、親御さんにも私たちの主旨を理解してもらって、協力してもらっています」
ただ「子どもを預ける場所」としてだけでなく、子どもたちがいきいきと成長していける学びの場として、「児童デイサービスYY」を利用してほしいというのが、佐伯さんたちの願いだ。
子どもたちは、手洗いやあいさつ、おやつを食べることを通して、基本的な生活訓練を学び、絵を使ったゲームや手を使う作業などで、さまざまな学びを経験していく。
「弱者として存在するのではなく、障害のある人たちも、自分たちの住んでいる地域でその人らしく、暮らしていく。そのための自立支援ができたらうれしいですね」
児童デイサービス事業が軌道に乗ったら、年齢の幅を広げ、中高生、さらには大人の地域支援も行っていきたいと考える佐伯さん。
「支援費制度をうまく利用し、将来的にはヘルパーステーションも設置したいと夢を描いています。あらゆるライフステージで福祉サービスを受けてもらえるような組織づくりが目標です」
それには、若い人材の育成が急務。さまざまな障害を持った人たちの能力を伸ばし、応援していくためには、やはり専門的な知識や経験、技術が必要だ。
「今は、福祉大学の学生さんや保育士さんなど、専門の知識を持ったスペシャリストたちが、この活動を支えてくれていますが、もっと大きく広げていくためには、多くの若い柔軟な人材が来てくれるとうれしいです」
ボランティアスタッフも募集しているそうなので、福祉サービスに興味を持っている人や、こうした活動に賛同してくれる人は、ぜひ見学に来てほしいそうだ。
「障害のある人たちは本当にユニーク。彼らとつきあっていると、ハッとさせられる新しい発見があって刺激的です。指導方法など創造する喜びもあり、とても魅力のある仕事だと思いますよ」
障害があろうが、なかろうが、その人がその人らしく無理なく生活できるような社会づくりを目指して、佐伯さんはできる限りのことにチャレンジしていくつもりだ。