![]() |
|
| 「家にあるもの、なんでもペイントしたくなっちゃいますね」と眞知子さん |
トールペイントとは、木のテーブルや箱、空き瓶やブリキ缶など、生活の中にある物をペイントして楽しむクラフトのことだ。
草木や動物など、モチーフも身近なものが多く、簡単に入っていけるのが魅力。野村眞知子さんも、10年ほど前にトールペイントに出合い、以来、ライフワークになっているという。多くの作品を製作するかたわら、講師の資格も取り、自宅で教えている。
お宅に伺うと、門のさくにもかわいい花の絵が描かれており、「あ、トールペイントをやっているお家だな」ということがすぐわかる。中に入ってみるとこれまたびっくり。パステルカラーの美しい作品がずらりと並んでいる。
「子育ても一段落したので、何か始めたいなと思っていた時に、偶然新聞で見つけたのが『トールペイント・サークル』の案内だったんです。ちょっとのぞいてみるくらいの軽い気持ちで出かけたのですが、それが運のつき(笑)。もう楽しくて楽しくてのめり込んで行きました」と10年前のトールペイントとの出合いを語る眞知子さん。
トールペイントにはさまざまな技法があるそうだが、眞知子さんが取り組んでいるのは、花をモチーフに描く「ピオニーペインティング」というもので、トールペインターの岩寺智恵さんが考案した独特の手法だ。
「岩寺先生は、多くの人にピオニーペインティングの楽しさを知ってもらおうという考えから、だれにでも簡単に美しい花が描けるというやり方を広められたんです。ピオニーというのはシャクヤクとかボタンのことです」
ピオニーに魅せられた眞知子さんは、東京の講師科コースに通い、認定講師の資格を取得。このほかにもアメリカンハンディクラフト協会認定のトールペイント講師、水彩画の講師資格も取り、多彩な技術を生かし、自宅で教室 Primavera(プリマベラ)」を開いている。
「ピオニーは、本当にとっつきやすくて、初めての方でもきれいにお花を描けるんです。一度試してみれば、わかりますよ」ということで、私たちのために特別体験教室を開いてくれることになった。
黒い画用紙に白えんぴつで簡単なスケッチをした上に、アクリル絵の具をつけた丸筆を使って花びらを描いていく眞知子さん。それを手本に、あらかじめ用意しておいてくれた花のクラフトに、花びらを描いてみた。
その際、白い絵の具を少しだけつけて花を立体的に見せるのがピオニーの特徴だ。
「白をティップすると言いますが、これを6種類のストロークで描いていくんです」
見よう見まねで描いた花びら。白いティップが妙に浮き上がりすぎているような気もするが、初めての割にはなんとかさまになったような気がする。
「ね、お花らしくなってるでしょ。どなたにでも簡単に美しいお花が描けるのが、ピオニーの不思議なところなんです」
6つのストロークを使い、白いティップを入れ、花を描く。それ以外にはなんの約束事もなく、自由に作品作りに取り組めるところがうれしい。
眞知子さんは、これまでに数百点の作品を完成させている。娘さんの結婚式のために作ったウエルカムボードをはじめ、木のプレートや机、本立て、ついたて、ブリキのテーブル、のれん、お盆など、ありとあらゆるものにペイントしている。
「どれも生活の中で生かされているものばかりです。古くなって使えなくなっても、捨てられないものっていっぱいあるでしょ。そういうものを生き返らせて、もう一度使えるものに変身させる。本来トールペイントというのは、そういう目的で始まったものだと思います」
教室では既製品の木を使っての作品作りも指導するが、カリキュラム終了後は「身近にあるものを使って工夫し、世界でたった一つしかない作品作りを楽しんで」と教えている。
暮らしを大切にし、古いものを大事に使うという精神から生まれたトールペインティング。その美しい世界を一度見てみたいという人は、電話で問い合わせてみよう。
「見に来てくださるなら、いつでも歓迎です。お気軽にお出かけください」とのことだ。