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| 吉野屋は小さな店だが、パン好きの人に大人気 |
人気のパン屋さんがあると聞いて訪ねたのが尾西市街。地図にしたがって車を走らせると、一面の田んぼの中に住宅がぽつりぽつり、というのどかな場所にたどりついた。
「こんなところにパン屋さんがあるのか」と疑問に思った瞬間、ありました、パン工房「吉野屋」の看板。小さな間口だが、お客さんがひっきりなしに入って行く。
看板には創業1957年と書いてある。なんだか面白そうな店である。
創業1957年とあるのは「おやじが営んでいた和菓子の店を私が継いだからです。私はパン屋として8年前にこの店をスタートさせましたが、屋号とともに和菓子部門を残し、母が担当しています」と説明するのは、店主の吉村俊宏さんだ。
現在もお父さんの代からのお客さんが多く、パン工房の一角では、母親ののぶみさんが、注文のもち菓子やまんじゅうを作り続けている。
「この仕事は休みがないでしょ。息子にはこんな大変な仕事を継がせたくないと思ってサラリーマンにしたのに、パン屋さんになって戻ってきてしまいました(笑)」とのぶみさんは苦笑しながらも、俊宏さんやスタッフと一緒に仕事をするのが楽しそうなようすだ。
さて、俊宏さんは、パン職人を目指し、大手パンメーカーで5年間修行した。
「パン作りは朝が早いし、力仕事が多いですから、大変といえば大変ですが、小さい時から両親の仕事ぶりを見て育ったせいか、それほどつらいと思ったことはありません。おいしいパンをより多くのお客さんに食べていただきたいという気持ちが強いので、毎日どうしたらもっとうまく焼けるかを研究しています」
よりおいしいパン作りを目指し、日夜努力を続ける吉村さんがモットーにしていることは「できるだけ手作りの部分を多くすること」だ。例えばコルネに入れるカスタードクリームもすべて工房で手作りしている。
「できあいのクリームを仕入れて注入した方が簡単なんでしょうが、自分で作るものとは味が全然違ってきます。コスト面もあるので、かねあいが難しいですが、可能な限り、材料もいいものを選んで作っています」
あんパンに入れるあんも、もちろん手作り。いいあずきを使っているので、嫌みのない味が人気。またメロンパン、ミニクロワッサンもおすすめだ。記者も試食してみたが、メロンパンは、上に載っているメロンの部分が下までたっぷりとあり、カリカリとした食感がおいしい。
サンドイッチなどおかずパンの中身も充実している。ジャガイモサラダや卵もすべてはさむ直前に作り、チキンカツやエビカツなども揚げたてをサンドしている。
このほか、砂糖の代わりにハチミツを使い、ベータカロテンのたっぷり含まれた健康パン「ドナリエハニー食パン」も好評で、休日には遠くからも評判を聞いてやってくるお客さんも多いという。
「なるべくオリジナルなパンを増やし、みなさんに喜んでいただける店にしていきたいですね」
取材にお邪魔した日はちょうど雪だるまパンが焼き上がったところで、かわいい雪だるまがずらりと並んでいた。
「ブリオッシュの周りを白くコーティングしました。冬だけの限定販売です。またドイツのクリスマス菓子、シュトーレンも販売しますので、こちらもご期待ください」
新しい味を追求するために、休みの日はあちらこちらのパン屋さんを回るという俊宏さん。
「作り方について相談したい時は、修業していたパンメーカーに問い合わせれば教えてくれますので心強いですね。リーズナブルな価格で親しみやすい味。当たり前の味なんだけど、何度食べても飽きないパン。そんなパン屋になれればうれしいです」
あんパン100円、メロンパン110円、コルネ120円、ビーフカレーパン120円、ミニクロワッサン40円、雪だるま180円、サンドイッチ180円〜と、確かにお値打ち。
俊宏さんとのぶみさん、そしてスタッフ数人のアットホームなパン屋さんがつくり出す、一見どこにもありそうで、実はどこにもない家庭的な味は、たくさんのお客さんから支持を得ている。