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| フラットな建物があたりの風景に浮き上がる |
名岐バイパスの木曽川にかかる橋のすぐ下といえば、ああ、あそこかと思い浮かぶ人もいるかもしれないが、まさかそんなところに(失礼)、朝はモーニング、昼はランチ、夜はライブもやっている店があるなんて…。まだ知らない人たちのために、早速ご紹介することにしよう。
所は、北方町北方字東本郷下。まわりに住宅もなく、比較的見はらしのいい空間に、駐車場もしっかり広く取った「音食屋おんさ」がある。オープンから2年3カ月、店主の木村隆さん、紀子さんご夫婦に話を聞いた。
「店を始めたきっかけは、それまでは会社勤めをしていて、まあ安定した生活をしていたんですが、やはり母親が亡くなったことが大きかったかなと思います」
隆さんの実家は織物会社を経営していた。斜陽化の波を受けていたこともあり、隆さんはあえて跡をつがずサラリーマンの道を歩んでいた。一方では、朝から晩まで必死に働くお母さんの姿を見てきた。そのお母さんが3年前に他界。やっと家業も整理して、さてこれからはゆったりと人生をという時期だった。
「やっぱり人間、生きているうちに好きなことをやった方がいいというのが実感だった。それで昔から音楽が大好きということもあって、思い切って店を出したんです」
ビートルズ世代を自認する隆さん。まったくの素人にもかかわらず、店を始めたいという気持ちを、奥さん、子どもたちにも真剣に話した。家族の返事はOKだった。
「あの時、反対すればよかった」と紀子さんは笑うが、実際、それまではサラリーマンの妻の立場。それに店を経営したこともないし、一体どんなことになるのか、想像もできなかったという。
店を始めるにあたって紀子さんは江南のとある居酒屋へ。料理作りも含め、いわゆる接客業の修業に出る。隆さんは店の基本設計を担当。
「店の名前にもあるように音と食に、まずこだわりました」
音に関しては、天井、床、壁など、木を基調にした店舗作りをめざした。これが結果として、すばらしい音響効果を持つ空間を生むことになった。この店で何度もライブ演奏をしている女性バンド「朱理」のメンバーたちも、「木をふんだんに使ってあるせいか、音の響きがすごくよくて、演奏する側にも、とてもクリアに聞こえるんですよ」と語る。
食の方のこだわりについては紀子さんだ。
「最初のころは彼がピザに夢中になっていて、そういう系統のメニューが多かったんですが、最近は私の好みもあって、和食にだんだん傾いてきているかなという感じですね」
メニューの一部を掲載しておくが、海鮮などの和食から、ピザ、ドリアなどのイタリア料理、そして創作料理と呼べるものまで、実にバラエティ豊かだ。記者らはランチメニューの中から、「たま鉄火丼(780円)」と「ねいろ弁当(850円)」を選んだ。食べてびっくりというのも失礼な話だが、純和風の洗練された味で、実にきちんと調理してある。ライブをやっている店だから、味の方はね…なんて無責任な感じでは全然ない。聞けば生マグロなどは、岐阜中央卸売市場から直接仕入れているという。またランチタイムには、コーヒー、紅茶がセルフで飲み放題というのもうれしい。
最後に、店をやってよかったことは?と質問すると、「ライブがあるたびに、体で音楽を感じられること」と即答する紀子さん。隆さんは?と尋ねると「う〜ん」としばらく考えたあと、「結果は、まだわからんでしょう…」と、にっこり。
最後にお二人からのメッセージ。
「出演バンドを募集しています。ジャンルも年齢も一切問いません。むつかしいことは言いませんから、バンドなどやっている人は、ぜひ」と隆さん。
「モーニング、ランチ、ディナーといろいろ工夫したメニューをそろえていますから、こちらもよろしく」は、紀子さん。