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| 「人と人との関係を大切に、楽しく森林学を紹介していきたいですね」と奥村さん |
エコロジーを基本に、田舎での楽しい遊び方や森林ボランティアなどを紹介している人がいる。
奥村欣司さんは、自営業を廃業後、岐阜県清見村を拠点にさまざまな活動を展開。森林インストラクターとしての知識を生かし、故郷一宮と清見村の人たちをつなぐ案内役として、充実した毎日をおくっている。
「ずっと繊維関係の会社を経営してきましたが、50歳になった時、フッと不安というか、疑問を感じましてね。自分の人生は本当にこれでいいのかと。そんなころ、たまたま新聞で稲本正さんの『森の博物館』という本に出合いました」
自然との共生をテーマにした工芸家、あるいは作家として知られる稲本氏の本を読んで、将来に対するヒントのようなものを感じたという奥村さん。
「それと同じころ、心に浮かんだ『森の案内人』というキーワードでインターネットを検索していたら、林野庁の外郭団体が認定する『森林インストラクター』にたどり着いたんですね」
もともと山好きな奥村さんは、「これだな」とひらめいた。自然や環境にかかわりながら、社会や人の役に立つ仕事…。自分のやりたいことが見え始めてきたそうだ。しかしその一方で、繊維産業の長引く不況で、経営する会社がいよいよ事業廃業に追い込まれることに。
「きっぱり事業に見切りをつけ、後始末をきちんと済ませ、3年前に森林インストラクターの試験に合格しました」
森林インストラクターとは、自然の仕組みや森づくり、林業、野外活動、また民俗学や環境教育まで、幅広い知識を持ち、一般の人たちに森からのメッセージを伝えるインタープリター(通訳者)の役目をする人のことだ。
森林インストラクターの資格を取った奥村さんは、さっそく活動を開始。
「受験仲間に岐阜県清見村の人がいて、交流がありましたので、清見村の豊かな自然を一宮の人たちに紹介できないかと思っていたところ、同じような活動をしているグループがあると聞き、びっくり。清見村のアンテナショップ「ひだ清見ふるさとプラザ」が、一宮駅前の伝馬通3丁目商店街にあり、すでに交流を始めていたのだ。同商店街は、1999年に『tenmaどんぐりクラブ』を設立していた。
「tenmaどんぐりクラブ」とは、『ミレニアムの森をつくろう』を合い言葉に設立された団体で、清見村のどんぐりを町に持ち帰り、苗に育て、再び清見村へ帰そうという活動を提唱。主旨に賛同した奥村さんは、さっそく同クラブに参加し、森林インストラクターの知識を生かして活動を始めた。
「清見村には、木曽川の源流があります。そして木曽川は私たち一宮市民の生活に欠かせない川。そんなことを意識しながら、清見村での『源流の森づくり』に参加したのが、初めての行事でした」
2000年には清見村大原(おっぱら)地区に、同クラブの山「ひだ清見tenmaの森」も持つことができ、活動の拠点づくりもできた。
その後は、春の植樹祭、夏の下草刈り、秋のどんぐり拾い、冬の枝打ちなど、季節ごとのイベントに会員たちが参加。交流はますます深まっている。
「足しげく通っていくうちに、顔見知りも増えていき、村人たちとも友達になれます。都会の人が豊かな自然と出合い、いやされるように、町の人が来ることで、村も活性化する。そんなお互いが満足できるような関係づくりを大切にしていきたいですね」と語る奥村さんは、炭焼き、シイタケ作り、そば打ちなど、積極的に新しいことにも挑戦し、村人たちとコミュニケーションしつつ、活動の輪を広げている。また昨年から大原地区の村祭りにも参加するようになり、寂しくなっていた祭りを盛り上げるのにも一役買っている。
「現在、会員として登録しているのは66ファミリー。忙しいお父さんたちも森の中に入ると、本当にリラックスします。森にはさまざまな効用があって、人を気持ちよくさせる空気が流れています。とにかく一度体験してみてください。きっと生活の中にゆとりが生まれますよ」
奥村さん自身、同クラブ会報「どんぐりくるくる」の発行や「ひだきよみ自然館」のスタッフとしての活動、また小中学校の野外体験教室の講師、一宮市のボランティアグループリーダーなど、多忙な毎日だが、「好きなことをやっているので、仕事一辺倒だったかつての生活とはまったく違う」という。
「森林にかかわる仕事は、環境問題も含めて、これからますます重要になっていくと思います。そんな使命感を持ちながら、より多くの人たちと共に、いきいきと学んでいきたいですね」
同クラブに入会するには、入会金500円と年会費1,000円を納めればOK。あなたも森の案内人とともに、森林体験をしてみてはいかがだろう。