![]() |
|
| 純和風建築と庭が落ち着いた雰囲気の「楽瓷庵」 |
木の香りがしてきそうな店構えとよく手入れされた純日本風の庭。いかにもしにせのそば屋という雰囲気が伝わってくる「楽瓷庵」だが、オープンしてから4年半という比較的新しい店だ。
「それまではごく普通のサラリーマンでした。それが突然、そば打ちに目覚めましてね(笑)。思いきって会社も辞め、そば屋を始めちゃったんです」と店主の尾関正憲さんは語る。
きっかけは、何気なく始めたカルチャーセンターの「そば打ち教室」だった。
「自分で打ったそばを試食した時、『そばって、こんなにおいしいもんだったの』って、目からうろこが落ちる思いでした。それまでは『めん類の一つ』という認識しかありませんでしたが、打ったそばを食べてから、もう明けても暮れてもそばのことばっかり(笑)」
それ以来、自分で打っては家族や友人に食べさせ、「おいしい」と言ってもらえると、さらに張り切って作るという繰り返し。
「もちろん、食べ歩きもずいぶんしました。信州や北海道、東北など、おいしいといううわさを聞けば、どこでも出かけていきましたね」
そんなある日、福島県山都村にあるそば屋を訪ねた尾関さんは、その店の味、店主の考え方にほれ込み、半年間、単身で住みこむことに。
「そば打ちの先生としてだけでなく、人生の師としても尊敬できる人に出会えたのは、本当にラッキーでした」
尾関さんのそばに対するポリシーは「本来の味を生かしたそばづくり」だという。
そのために、そばの実の原産地にもこだわり、全国の産地の情報は絶えずキャッチするようにしている。
「天候などで、出来不出来がありますから、産地を限定はしませんが、常時5〜6地方と取り引きしています」
仕入れたそばの実を、毎日粉に引き、その日の気温や天気の加減で、打ち方を工夫している。
「香り、甘味、そしてのどごしと、そばの味を生かした打ち方をしているつもりです」
心を込めて、気合いを込めて作ったそばを食べたお客さんが「そばって、こんなにおいしいもんだったのね」と言ってくれるのを聞いた時は、まさに天にも登る心地だという。
「私が、そばのおいしさに目覚めた時の感動をお客さんにも味わっていただければ、こんなにうれしいことはありません。店をやってよかったなと思えるのは、そんな瞬間ですね」
そば粉9割、小麦粉1割で作る「楽瓷庵」のそばファンは増える一方だ。
「一宮はどちらかというと、そばよりうどんの食文化が主流です。そんな土地柄でそば屋をやっても絶対にはやらないと、周囲には反対されましたが、お陰さまで何度も通ってきてくださるリピーターのお客さんがいらっしゃって、なんとかやっています。名古屋や岐阜からもわざわざ足を運んでくださる人もいて、うれしい限り。励みになります」
そばの値段は、ベーシックな「せいろ」が800円、車えびや野菜の天ぷらが付いた「天せいろ」が1,500円、「じねんじょとろろ」が950円、殻付きそばをひきこんだ1日限定15食の「田舎」が800円といったところ。
また、とろろごはんやあげそばなどが付いた「小楽膳(1,700百円)」や、そばどうふ、そばずしなど、そば尽くしの「楽膳(2,500円〜 要予約)」なども楽しめる。
「そば打ちは、奥が深く、毎日発見があります。最高の味を求めてこれからも、せっせと打ち続けたいですね」と張り切る尾関さんだが、一人で打っているので、納得のいく味を出すためには、一日150食分がせいいっぱいだそうだ。
「週末などは、途中で売り切れてしまう場合もありますので、悪しからずご了承ください」とのこと。早めに行って、おいしいそばの味を楽しもう。