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| 野村和子さん |
折り紙は日本だけでなく、いまや世界中で親しまれている日本固有の文化だ。その折り紙に魅せられてン10年。地域サークルでの講師をはじめ、滋賀県彦根市へも出かけて出張指導するという野村和子さんを訪ねた。
折り紙との出合いは、子ども時代を過ごした旧満州(現在の中国東北部)にさかのぼる。大連から日本へ帰国。その後、学生時代をへて教員の道へ。
「小学校で25年間教えていました。その時に自分で作った折り紙の作品を子どもたちにあげたり、実際に教えてあげたりして、ずっと折り紙と付き合ってきたんですよね」
25年におよんだ教員生活。その間は、趣味の域を出なかった野村さんの折り紙だったが、娘さんが出産するのを期に教員を退職。以後、本格的に取り組むようになった。
「はじめは双子で生まれてきた孫の世話をするために退職したんです。いろいろと面倒をみて、それもようやく落ち着いてきましてね、で、以前からやってみたかった折り紙にチャレンジしてみようと思ったんです」
それが15年ほど前のこと。
娘さんに続いて、東京に住む息子さんのところにもお孫さんが誕生。その子守り役を兼ねて東京へ通ううちに折り紙の専門家にも出会い、ますます知識と経験を深めていった。
「はじめは近所の方々に教えていたんですが、そうこうしていたら『豊島図書館』で折り紙サークルをというお話があって、そこで教え始めたのが13年前。早いものですねえ」
サークルの名前は『かにサークル』。かにのようにハサミでちょきちょきというところから名付けられたそうだが、月2回開催されるこのサークルには約45名の会員があり、毎年春には発表会なども開催している。
折り紙の魅力を伺った。
「まず材料が安いこと。専用の折り紙じゃなくても包装紙でもできるでしょ。お金がかからない趣味だから、長く続けられるんですよ。そして、いつでもどこでもできるという点も。電車の中や飛行機の中などでも、楽しめますよ」
そのほかにも、折り紙の利点は多い。子どもからお年寄りまで年齢を問わないこと。指先を動かすことで脳の活性化にもつながる。さらには日本古来の伝統文化であり、外国で喜ばれというのもよく耳にするところだ。
「息子が外交官をしていましてね。外国で駐在していたときに私も孫の顔見がてらよく出かけたんですが、そんなときに折り紙を披露するととても喜んでもらえましたね」
野村さんによれば“ORIGAMI”は、いまや世界に通用する国際用語の一つ。身近でしかも手間のかからない国際交流として役立ってきたという。
折り紙の指導に精を出す野村さんの日常は結構忙しい。いろいろな場所で、多くの生徒さんを相手に講師役を務めているからだ。
一つが豊島図書館の『かにサークル』で、毎月2回、約45名の会員さんらに教える。次に滋賀県彦根市では、『よりーな』という古布の店で、月1回、約20〜30名の生徒さんに。一方、自宅でも教室を開いていて、こちらは『和紙のおりひめ』の名で、約20名の会員がいる。
「こうした教室以外にも、たとえば先月に完成した『一宮子ども文化広場』のオープニングのフェステイバルでも、子どもたちを相手に教室を開きました。知的障害を持つ人たちにも、教えています」
野村さんの生徒さんの一人が、養護学校の先生であったことから始まった縁だが、その活動領域の広さには驚くばかり。
「毎月、教室の生徒さんたちのために材料をそろえるんですが、これが結構大変なんです。たとえば染めつけた和紙を使う場合だと、それを色目にあわせて正方形に切り分けておかなければなりません。また包装紙なんかも集めていて、いろいろな大きさに切りそろえたりと、やることがいっぱいあって、夢中になってやってるうちに夜中の一時なんてことも多いんですよ」
大陸育ちのせいか性格は開放的。でも、きちんと整理整とんするのが大好き…とは野村さん自身の分析だが、一見、矛盾する性格を実にうまく“整とん”して、約100名にのぼる生徒さんたちに心から慕われている野村さんである。