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| ヨーロッパの田舎家を思わせる、「ビストロプティル」 |
「味は本格的なフランス料理。しかも大衆食堂の定食のようなボリューム感だよ」と聞いて、これはぜひ確かめてみなければ・・・ってんで、さっそくオープンして間もない「ビストロ・プティル」に行ってきた。
「いらっしゃいませ」と出迎えてくれたのは小島克修(かつのぶ)さん。「えっ、この人がオーナーシェフ?」と驚いてしまうほど、童顔のかわいい(失礼)人であった。
「昨年12月14日にオープンしましたので、まだ1カ月ほどしかたっていませんが、おかげさまでたくさんのお客様に来ていただいています」と語る小島さん。実家は仕出し屋さんだそうだ。
「おやじは和食一筋の職人ですから、僕がフランス料理の道を選んだ時は、言いたいこともいろいろあったと思います。でも反対はしませんでした。大阪の調理師専門学校で学んだ後、フランスに留学もさせてくれたので、その点では本当に感謝しています」
フランスのリヨンで料理の専門学校に通いながら、レストランでシェフの修業もした小島さん。料理以外にもたくさんのことを学んだという。
「フランス人は、時間の使い方がうまいし、遊び上手。日本で大人が遊ぶというと、どうしてもお金がかかってしまいますよね。でもフランス人は散歩したり、絵をかいたり、自分の時間を豊かに過ごしている。人生を心から楽しんでいるという感じですね」
多感な時期をフランスで過ごした小島さんは、帰国後神戸のフランス料理レストランで修業を積み、腕を磨いた。その後大阪の店でシェフを務めるなど、経験を積み、一宮に帰ってきた。
「その間に阪神大震災も経験しました。震災後しばらくは、お店の採算を度外視してランチを出していましたが、本当に喜んでいただきました。料理人として人の役に立っているという実感を味わえたことは、僕にとって大きな体験です」
ビストロというのは、もともと小さなレストランという意味。気軽に立ち寄り、手軽に食べられる食堂として、フランスでも庶民に人気のお店がたくさんあるそうだ。
「フランス料理というと、きちんとした服装で、テーブルマナーを守って、みたいなイメージがありますよね。でもフランス人だって、普段は簡単な大衆食堂でごはんを食べるわけですから。普通の人が家族連れで楽しめるようなアットホームなお店をつくっていくのが、僕の理想なんです」
店の看板にもあえてフランス料理の文字は入れなかった。「一宮タワーで遊んだ家族連れが、ジーンズとサンダルばきでも来てくれるような店」を目指しているからだ。
しかし、雰囲気は気取らないが、料理は本格的だ。
「手抜きは一切しません。フランスで修行した経験と日本のしにせで学んだ技を生かして、僕なりの味を追求していきたいと思っています」
われわれ取材班も試食したその日のメニュー。北海道から取り寄せたエゾ鹿の赤ワイン煮、若ドリもも肉のビネガーソース、スズキの蒸し焼き、タラの白子香草パン粉焼きサラダ添え、フォアグラと鹿肉のテリーヌなどのメインディッシュにサラダ、パン、スープ、デザートなど。第一に驚きなのが量だ。サラダもメインディッシュもすごいボリューム。確かに大衆食堂の定食のようである。
そして手の込んだ調理法にもびっくりした。味はそれぞれ素材の良さがしっかり生かされていて、ソースも奥行きのある味が楽しめた。
「北海道の猟師さんや四国の網元に知人がいますので、彼らがとったものを直接仕入れています。野菜もなるべく農薬を使わない方向でやっていきたいと考えています」
素材の鮮度にこだわり、前菜からデザート、パンからジャムまですべて自家製なのが小島さん流。
「お子さんがおいしいと言ってくれるお店を目指して頑張ります。家族の記念日などに、ぜひご利用いただきたいですね」
庭には、小島さんが植えた香りにいいハーブが育ち始めている。
おいしくて、気持ちのいいお店が、また一つ、地元に根をおろし始めている。