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| 通りかかったら思わず入りたくなるような、不思議グッズがいっぱい |
電話で住所を確かめて、そのとおりに車を走らせていたつもりだが、道の両わきはどんどん田園風景になっていく。「こんなところにエスニック雑貨屋さんがあるわけないし、通り過ぎちゃったかな」と思い、引き返そうとしたとたん、おお、あった、あった。絵の具をぶちまけたような極彩色の雑貨たちが軒先を彩る、魅力的な店構え。
「二喜“B”」は、アジアンテイストがいっぱいの、まさにエスニックなワンダーワールドであった。
「夫の建築の仕事を手伝っていたんだけど、何かお店をやってみたいなあ、とずっと思ってたの」と語るのは「二喜“B”」を切り盛りする打木尚子さんだ。
「エスニック雑貨のお店をやっている知人がいて、『タイに仕入れに行くけど一緒にどう?』と誘われたのがきっかけでした。特にエスニック物に興味があったわけではないけれど、楽しそうだし、私自身、洋服を作ることが好きでしたから、なんとなくそんな流れになっていったんです」
ガレージを改造した店鋪は、繁華街から遠く離れたところにあるが、11年前にオープン以来、じわじわと口コミでファンが増え、今では固定客がたくさんいる。
「とんぼ玉を中心にしたアクセサリーと洋服がメインで、タイ、インドネシア、ネパールなどに買い付けに行きますが、日本の古い陶器や着物などもありますよ」と品ぞろえの傾向を説明してくれる。
多種多様な商品をじっくり見学していると、とても手ざわりのいいシンプルな綿の布地のコーナーを見つけた。
「タイで仕入れたコットン生地です。このタイプは横幅が57センチと決まっていて、両わきは耳になっているから、スカートやワンピース、ブラウスなんかも簡単にできちゃうんですよ」
エスニックファッションというと、「個性が強すぎて、買っても着て行く場所がない」などと考えがちだが、「上から下まで全部エスニックにするのではなく、少しずつ取り入れれば、とってもおしゃれになると思いますよ」
普段の生活に、エスニックをバランスよく取り入れることを提案する尚子さんは、そのままではなかなか着るチャンスのないハデな色彩の民族衣装なども、ほどいて、きれいな部分をリフォームし、小さなワッペンを作る。
「自分流のファッションを楽しみたいお客さんに、『こんなワッペンをあしらったらどうですか』なんてお勧めしたりしています」
お客さんは、若い人だけでなく、中年層も多い。着心地の良さが人気を呼んでいるのだが、中高年のお客さんの中には、似合う色やデザインなのに、絶対似合わないと思い込んでいる人もいるという。
「人って、思い込むとなかなかそこから抜け出せないのね(笑)。でも私はうそがつけない性分なので、似合わないものは『どう?』と聞かれても『うーん』て黙っちゃう(笑)。で、反対にお客さんが選んでもいないものを『だまされたと思って、とにかく着てみて』って、勧めるんだけど、これが案外、ぴったりお似合いになるんですよ」
お客さんがファッションの守備範囲を広げ、おしゃれに変身していくことが、尚子さんはうれしいのだ。きめ細かいアドバイスで、どんどんあか抜けていくお客さんを見ることが何よりの励みになるという。
さて、もう一人の経営者である夫の尚喜さんは、建築家として忙しい日々をおくっているが、古物商の免許も取得しており、特にとんぼ玉アクセサリーの分野では、かなりの目利きだそうだ。
「4,000年の歴史を持つといわれるとんぼ玉は、世界各国で見られるガラス工芸です。夫はその美しさにハマッていて、より多くの人に知ってもらおうと思っているみたい」
月に2回、専門の講師を招いて「とんぼ玉教室」を開き、尚喜さん自身も「体験レッスン」の希望者に教えているそうだ。
「繊細で、きれいで、なんとも言えない魅力があります。お気軽にのぞいてみてください」
エスニック雑貨の良さを自然体で伝える打木さん夫妻の「二喜“B”」は、初めての人でも気軽に入れる、優しい表情のお店である。