![]() |
|
| 「焼きものは楽しんでやらなくちゃ」とやさしい笑顔の和田さん |
若いころからの趣味が高じて、自分の窯を持ち、陶芸教室を開いている人がいると聞いたので、訪ねてみた。
「ようこそいらっしゃいました」と作務衣姿で、出迎えてくれた和田幹一さん。さっそく「和気窯」を案内してもらった。
「愛知教育大学を卒業後、一宮市や岐阜市で教員をしておりまして、その間も、趣味で陶芸はずっと続けていました」と語る和田さんは、専攻が工芸だったこともあって、学生時代から物をつくることが日常的だった。仕事を続けながら、休みの日には焼きものをするというマイペースな日々だったが、やがて「趣味の領域を超える」ほど熱中するようになり、51歳で、早々とリタイア。教員生活にピリオドを打ち、現在は陶芸教室を開きながら、創作活動に専念している。
「わが窯は、『和希窯』と言います。以前から、焼きものに興味のある地域の方たちが集まって、ここでつくっていましたが、私がリタイアしてからは、授業料もいただき、本格的に教室を開いています」
とはいっても、月謝は2カ月で6,000円。破格の授業料は、「より多くの人たちに陶芸の楽しさを知るチャンスを持ってほしいから」という和田さんの気持ちの表れだ。
「子どもたちも成人し、独立していますし、妻も仕事を持っていますので、経済的には、まあ、なんとかなるでしょう(笑)」と余裕の笑顔。悠々自適の和田さんである。
「小さいころから、物づくりが好きでした。特に平面より、立体が大好きで、この作業場の棚なども全部自分で考えてつくったんですよ」
なるほど、教室の棚はよく見ると、さまざまな工夫がしてあり、使い勝手のよさそうな細工があちらこちらにほどこしてある。
「実用的で、役に立つ物づくり」を実践している和田さんは、陶芸に対しても「基本は暮らしに役立つもの」という大前提がある。
「飾っておくだけでなく、生活の中で活用できる物をつくりたい。そうして使い込んでいくうちに、だんだん愛着も生まれてくるのだと思います」
和田さんの作品を見せてもらったが、使いやすそうな茶わん、大小さまざまな花器などが部屋中に並べられている。実用的で、しかも遊び心がいっぱい、といった印象を受けた。
「ここに通ってくる生徒さんも、家で使えるものをつくっていらっしゃいます。つくって、使って、楽しんで…。これが物づくりの基本だと、私は考えています」
取材中に、たまたま居合わせた生徒さんも、「和田先生は、『ああしなさい、こうしなさい』ということは一切おっしゃいません。こちらが聞けば、ていねいに教えてくださいますが、そうでなければ、何をやっても自由。これがまた慣れないうちは、何をどうしていいかわからないんですけどね(笑)。でも続けてやっていくと、本当に楽しいですよ」と、「和希窯」の雰囲気を語ってくれた。
「私自身、教室を始めたことで、いろいろな方たちと出会うことができ、毎日が楽しいですね」と和田さんは、生徒たちとの出会いを喜ぶ。
「年齢も職業もライフスタイルもまったく違う人たちが集まってくるでしょ。それが作品づくりにも反映するんですね。『えっ、こんな発想もあるのか』なんて驚くこともしょっちゅうです。教える立場ですが、実は生徒さんに教えられているのかもしれませんね」
教えることで、刺激をいっぱい受けるという和田さん。人との輪を大切にしながら、じっくり、ゆっくり、指導をしている。
「私が長い間、陶芸を続けて来られたのは、楽しんでつくってきたからだと思います。長続きさせるためにも、まず物づくりの楽しさを知ってほしいですね」
そして作品を発表する機会も、年に一度は設けている。
「作品展を行い、人に見てもらうことで、緊張感が生まれ、それがまた作品づくりに影響を与えてくれます」
陶芸を通して出会った地元の人たちと、豊かな関係を創造しながら、和田さんは焼きものづくりの輪をさらに広げていくつもりだ。